ワンワンワンワンッッッッ!!!
ワンワンワンワンッッッッ!!!
こっちは切羽詰まってるんだ!!!
突っ込んだり、脱力している暇はねえんだ!!!
差し迫る桜の外気功。
畜生…!!!
どうすんだよ、どうすれば…
その時――だった。
「ぎゃあああああああああ!!!」
雄叫びのような声を出したのは…
あの女で。
恐怖。
激しい恐怖を体現していて。
小々猿犬が彼女に取り囲んで吼えている。
これか!!?
この小々猿犬が怖いのか!!!?
半ば呆気にとられながらも、ワンコもどき如きが魔方陣の内部に入り込んで、女を取り巻けるということは…
「!!!!」
俺を阻んでいた衝撃波が薄らいでいる!!!
「ぎゃあああああああああ!!!」
絶叫を続ける女は朱貴から身体を離して立ち上がり、両耳に手をあてて苦渋の色濃くした顔をして、ずっと声を上げ続けていて。
こちらに注視する余力はない!!!
今なら――!!!
ワンワンワンワンッッッッ!!!
桜の力が俺の頭上に迫る寸前。
ワンワンワンワンッッッッ!!!
俺は身を低くして――動いた。
桜の力の落下速度よりも早く。

