意識をもっていかれそうな、濃厚な瘴気。
思考を乱れさせるような淫靡な香り。
俺達に気づいた集団は――
俺達に飛びかかってきた。
「煌、気をつけろ!!!
この力!!! 尋常じゃない!!!」
そうなんだ。
素人の力じゃねえんだ。
怪力…女も子供も年寄りまでも。
まるで獣のような素早さで、
四つん這いになって俺達に飛びかかってきたんだ。
そして見る。
彼らの身体の一部に…血色の薔薇の痣(ブラッディローズ)。
何でこの痣が!!?
そして思い出す。
ああ、2ヶ月前。
ゾンビ化した血色の薔薇の痣(ブラッディローズ)も、こんな体勢で俺を襲ってこなかったか!!?
偶然?
必然?
何一つ判らねえ。
上岐妙が何で"魔女"化してるのもさっぱり判らねえし。
だけど…きっと何か意味があるんだろう。
俺にはそれが判らないだけだ。
全裸の仮面男女の身体能力は、人間を超えている。
まるで野生の…凶暴な獣だ。
肉食獣が餌を見つけたように、ぎらついた欲を向けてくる。
喉元目がけて噛み付いてくる。
心臓の位置に爪をたてられる。
俺達に武器は顕現出来ねえ。
ならば体術で切り抜けるしかねえ!!!

