シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



意識をもっていかれそうな、濃厚な瘴気。

思考を乱れさせるような淫靡な香り。


俺達に気づいた集団は――

俺達に飛びかかってきた。



「煌、気をつけろ!!!

この力!!! 尋常じゃない!!!」


そうなんだ。


素人の力じゃねえんだ。

怪力…女も子供も年寄りまでも。


まるで獣のような素早さで、

四つん這いになって俺達に飛びかかってきたんだ。


そして見る。


彼らの身体の一部に…血色の薔薇の痣(ブラッディローズ)。

何でこの痣が!!?


そして思い出す。


ああ、2ヶ月前。

ゾンビ化した血色の薔薇の痣(ブラッディローズ)も、こんな体勢で俺を襲ってこなかったか!!?


偶然?

必然?


何一つ判らねえ。

上岐妙が何で"魔女"化してるのもさっぱり判らねえし。


だけど…きっと何か意味があるんだろう。

俺にはそれが判らないだけだ。


全裸の仮面男女の身体能力は、人間を超えている。

まるで野生の…凶暴な獣だ。


肉食獣が餌を見つけたように、ぎらついた欲を向けてくる。


喉元目がけて噛み付いてくる。

心臓の位置に爪をたてられる。


俺達に武器は顕現出来ねえ。

ならば体術で切り抜けるしかねえ!!!