「痛ッッ!! こら翠はん!!! 凶暴猿みたいにキャッキャと暴れて手を噛みはるな……って、ワンワンはん、パスや!!!」


「お!!!?」


聖から突然放り投げられた小猿を受け止め、間髪おかずにその目を手で覆った。


「ああ~!!! 見せろよ、ワンコ!!! 何で見せないんだよ!!! 朱貴が何だよ、葉山がどうなって……~~ッッ!!! ~~ッッ!!!」


キーキー騒ぐから、片手で口も押さえた。


小猿はどうしても見たいらしいが、絶対見せねえし。


「思った以上に、此の場の瘴気は…強いということですな」


アホハットは、小猿の歯形がついた手に、ふーふー息を吹き掛けている。


「どうすれば……桜?」


下を見た時、桜が…不自然に固まっていた。


あいつ…妙な処で立ち止まって…


「はああああ!!!?」


突然、桜が上着を脱ぎ始めたんだ。


さらりと黒髪を零して、露になる桜の身体。

小柄だけれど、着痩せするタイプだ。


成長期だけど…あれは完全に男の身体で…


それは判るけれど!!!


何で服を脱ぐ!!?

見つかったらどうすんだ!!?


「何やってるんだ!!? 桜、服を着ろ、何で裸…痛っ「葉山が裸!!!?」


小猿が俺の手を噛み付いて、興奮した声を上げた。


「ああ、お前はいい、お前は…「葉山が裸!!!」


駄目だ、小猿発情期に突入だ。

見ようとするエロ小猿の目を必死に抑えながら、


「お前が居たら話がややこしくなるから、見るな、いいな!!!「葉山が…」


俺はまた口を押さえた。

手に凄い鼻息を感じる。


ああ、きっと…小猿の頭の中は、ぼんきゅっぼんの桜がくねくね悩ましげに横たわり、小猿に手を振っているんだろう。


小猿…。

それは夢だ…。

永遠に叶うことのねえ、儚い夢だ…。