「このメンバーで一番大丈夫なはずの葉山はんでさえ、やられてしまってますな。は~、そこまでその場の磁力がまだ強力なんであれば、ワンワンはんの炎も絶望的やな」
かちん。
「お前、俺の力を見てもねえくせに、勝手に見くびるなよ!!!」
「ワンワンはん…。自信があるならどうぞ存分に」
かちん。
「じゃあそこで見てろよ!!!」
俺だって出来るんだ!!!
「はいはい、頑張りなされ~。翠はんはウチが見てますさかいに…。は~い翠はん。シャラップ、シャラ~ップ!! ん~黙らないと、口で蓋、しまっせ? そや、いわゆる"ちゅう"や。翠はんの初ちゅうは、真っ暗な中ウチと…」
青ざめて震えた小猿が押し黙った。
俺は、意識を集中する。
一体化。
炎との一体化。
俺の偃月刀を顕現する時のように、
リアルに心に描き出せ。
緋狭姉との修行を思い出せ。
――全ては、"心"次第だ。
心で色を感じろ。
心で温度を感じろ。
心で炎を創り出せ。
――"心"の強さが、不可能を可能にする。
炎の形状は?
炎の強さは?
――"心"が想念の再構築をし、再現の兆候(サイン)を出す。
よし、いける!!!
だけど――
「…あれ?」
まるで代わり映えのねえ景色。

