汚れていると思えばこそ、

どこまでも愛する女を汚れから守れる。


闇の底までこの身を沈めることが出来る。

恐れるものも、恥じ入るものも何もない。


どこまでも…

傍で守ることが出来るのは、

自分だけの強み――。


決して…卑下することではない。


俺は…そう思ったんだ。



俺は…

芹霞の為に何が出来るんだろう。


芹霞が受けねばならない闇を、その汚濁を…

きっと汚れきった俺なら引き受けられる。


ああ、きっと――

それこそが俺の存在する意味。


俺だけが芹霞のために出来ることが見つかったような。

傍に居ることの理由がみつかったような。


そんな気がしたんだ。


見返りを求めず想い続けることは、愛を求める奴にとっては苦痛だ。

しかしその苦痛を贖罪とするならば。


俺は――…。


聖の合図で、下に降りた桜。

俺の手の中では、未だ小猿が暴れている。


絶対、小猿には見せるものか。

朱貴が小猿に見られたくなさそうにしてたのもあるが、何より俺は…世間知らず故に純なこいつの目を曇らせたくねえんだ。


出来る限り綺麗なものだけを見させてやりてえ。


それは俺が…汚れているからなのかな。