「久遠、久遠!!!
やばい、あの曲かかったら…
黄色い蝶が出て来るの!!!」
そう、それはあたしの知り得た事実で。
「黄色い蝶を退治できるのは、
玲くんの電気の力だけで…」
そしてはたと思い出す。
玲くんが手にした剣に、蝶は寄りつかなかった。
「久遠、玲くんの…玲くんの持ってた剣は!!?」
「あれは…紫堂玲の枕元に…」
今、此処にないんだ!!!
どうしよう、黄色い蝶が出てきたら!!!
鏡の力で弾けられるんだろうか!!?
久遠の力は、有効なんだろうか!!?
「せり…いい方法がある」
久遠は笑う。
「あの曲を止めればいい」
確かに。
そして――
不確定要素の強い現状の中、
それしか確固たる方法がないことも確か。
そしてあたし達は、気配を殺しながらヘリに近付いたんだ。
誰がいるの!!?
こんな処でZodiacの曲を流して、ただ聞いているなんてありえない。
だとしたら。
此処で曲を流すのが目的だとするならば。
黄色い蝶が出現するのは――
必然ということになる。
必然のために、"誰か"はいる。
誰!!!?
あたしは…ごくりと唾を飲み込んだ。

