「……意外に近い処に落ちてたな」


久遠が小さな売店の屋根に飛び乗って周囲を見渡した時、あたしは見つけたんだ、あたしが乗ってきた青いヘリ。


道脇の遊歩道の奥に突っ込んだらしい。


奇跡的にも爆発はしていない。


「何で落ちたんだろうね。

犯人の証拠残ってないかね!!?」


未だ怒り収まらぬあたしがそう言うと、久遠は変な咳払いをして、突如あたしの目を手で覆った。


「何、一体何!!?」


「いいと言うまで、おとなしくしてろ!!!」


何!!?

敵!!!?


「おとなしくしてろ、せり!!!」


視界が真っ暗になって…

あたしはぞくりとしたものを感じた。


真っ暗が嫌だ。

暗いのが凄く嫌だ。


あたしは暗所恐怖症ではないというのに、怖くて怖くて仕方が無い。

何か…惨たらしいホラー映画の一場面が蘇りそうな、そんな恐怖感。


何?

何で?


黒。


漆黒。


…闇。



闇が…怖い。

そう、闇が怖くて仕方が無いんだ。


闇に身体が囚われそうな…妙な浮遊感。


足が地面に着いていないから、余計に不安定さを感じて恐怖を煽る。



「久遠!!!

下ろして、下ろして!!!」


じたばたと手足を動かし、久遠に叫ぶ。


「やだ、真っ暗な闇がやだ!!!!」


とにかくもう我武者羅に。