シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 

――何で、せりが…。まあ…緋狭の妹なら、不可能ではないだろうが…。


久遠は何やらぶつぶつ言っていたけれど、あたしは嬉しくて仕方が無い。


視るのはただの補助的なもの。

邪を弾くという者はもっと能動的なもの。


だとしたら――

あたしだって守られてばかりではなく…皆を守っていけるのではないかと。


あたしは"約束の地(カナン)"の危機に、役立てるか!!?

無力なあたしから脱皮できるか!!?


――せり。光を出せても、せりには制御が出来ない。ズブのド素人が、熟練者気取りをするな。


冷たい紅紫色の瞳。


――せりに出来ることは、せいぜい自分の身体についた蛆を払うことくらいだ。他人を救済できるなど、大それた夢は捨てろ。


カチンとくる言葉だけれど…


その通りかもしれない。


だけど…。

だけどさ…?


折角、あたしだけが出来るというものがあるのなら、精一杯頑張ってみたいと思うのが…普通じゃない?


ぷうとむくれていると、久遠の大げさな溜息が聞こえた。


――蓮、鏡を寄越せ。


久遠は蓮から鏡を受け取ると、あたしに渡して。


――そんなに"助けたい"のなら、オレを守れ。オレの足手纏いにならないように、精一杯頑張ればいい。


そして久遠は――


――オレを守ることだけ、考えていろ。


あたしを肩に担いだんだ。