シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
知りません。

判りません。


逆にあたしが聞きたいです。

あたしはただの平凡な女子高生。


特殊な力なんてあるわけない。


何で鏡が…。


そう覗き込んだあたしの目に映ったのは、鏡の縁に刻まれている模様。


…似ているんだ。


――北斗七星?


小猿くんの、鏡に。

あの鏡に刻まれていたような、小さな柄杓型の模様がある。


小猿くんの鏡は、星見の鏡とか言っていたっけ。


すると久遠が言った。


――北斗七星? これは…似て非なる南斗六星だ。


同じような柄杓型だれど、よくよく見れば…確かに点は6つしかない。


南斗六星なんて初めて聞いた。


――道教において、北斗七星は北斗星君と呼ばれる死をつかさどる神だが、南斗六星は、南斗星君と呼ばれる生をつかさどる神とみなしている。


偶然なんだろうか。

小猿くんが持っていた鏡と、非常に似通っているのは。


――ニトリクスの鏡には、対になるものがあると聞いたことがある。


久遠はそう言った。


――この鏡のように邪を弾く力はないけれど…"視る"ことに長けた鏡の筈だったが…。


多分…それだ。


――しかし…何で陰陽道の名家である皇城家に?


久遠は…あまり皇城家のことは知らないらしい。

皇城家が情報を開示しない特殊な家柄だからとか。


真実を映し出す、小猿くんの鏡。

意外な処で繋がるものだ。


視る者が限定される小猿くんの鏡。

邪を弾く者が限定される蓮の鏡。


そのどちらもあたしは、扱えるらしい。