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「神崎、目覚めたか!!!?」



ドアップで視界に飛び込んできたのは…


「由香ちゃん!!!」


凄く懐かしい顔で。


何だかぶわりと涙が溢れてきた。


「由香ちゃん、無事だったんだね!!!?」

「神崎ッッ!!!」


あたし達は互いを抱きしめ合って、おいおいと泣いた。



ここ数日、玲くんと紫堂本家で過ごしていた毎日が、やけに夢みたいに儚く思う。

由香ちゃんもまた、あたしの日常の構成する1つだったんだ。


「よくこんな危険な処に来たね!!?」


目も鼻もぐちゃぐちゃなまま、由香ちゃんが言った。


「ちゃんと"彼"、

生きているからね!!?」


生きている?


久遠のことかな。


「よかった!!! 

――…で、何処!!?」


あたしは久遠を探した。


「それが久遠と出かけたっきり…」


由香ちゃんがおかしなことを言い出す。


「え? 久遠が久遠と出かけたの?」

「え? 久遠は1人しかいないじゃないか」


「????」

「????」


何だか由香ちゃんと話が噛み合わない。


「神崎。君の大切な幼馴染だよ?」

「煌もいるの?」


いるのなら心強い。


「如月じゃなくて…」


由香ちゃんは困った顔をした。


「じゃ、桜ちゃん?」

「いや葉山じゃなくて!!」

「???」


すると由香ちゃんがあたしの耳元で囁いた。



「紫堂は生きてるよ」



あたしは――