黄色い蝶が出現した時から、出現する恐れはあったけれど。

どうしてこんなタイミングで…。


そして俺は、はっと顔を空に向けた。


やはり。


玲が"何か"から芹霞から身を守る素振りを見せていた。


蝶がいるのか!!!?


下には、物理的な危険が差し迫っている。


玲が力が使えないというのなら、

あいつに身を守る術はない。


俺は…感じたんだ。


玲の動きから…玲の考えが。


あいつのことだ。

絶対あいつのことだから!!!


させない。


玲を死なせない!!!


馬鹿なことを考えるな。

言っただろう、俺は!!!!



「玲ッッッッッ!!!!」



お前を死なせないと!!!

俺を信じていろと!!!


俺の咆吼する心は麻痺した声帯を刺激し、

声を創り出して喉の奥から迸(ほしばし)らせた。


心が身体の制約を突き破ったんだ。



久遠の驚いた視線を感じながら、


俺は――

手にしていた剣を思い切り投げたんだ。


この剣は、俺と玲との始まりの剣。


この剣がなければ、俺達は一緒にいることはなかったはずだから。


剣は絆。


絶つモノではなく、守るためのモノとして。


玲に届けッッッ!!!!



剣は玲の手に届き――

玲は――…。



ああ…


もう大丈夫だ…。


玲!!!