僕のバングルの月長石は、凱との戦いにおいて、既に備蓄していた電気はなくなっていた。
僕の力の糧となるもの。
1つ…電気の誘導方法はあったけれど、それはあまりにも時間がかかりすぎて適していない。
ならば――
僕自身が芹霞に追いつくしかない。
外気功を空に放って加速つけた途端、心臓がずきんと痛んだ。
片手で胸を掻き毟りながら、反対の手を必死に伸す。
痛いなんて…
苦しいなんて…
そんなこと言ってられるか!!!
「芹霞…もう少し…」
近付く。
少しずつ、僕は芹霞に近付いていく。
「玲くん…」
もう少し。
伸された芹霞の指先が、もう少しで僕に触れる。
「芹…っ――…!!!!?」
その時、僕は感じたんだ。
凶々しい――
この感覚は!!!?
「玲くん、蝶が…
黄色い蝶が来たッッッ!!!」
芹霞が絶望的な声を出した。

