「外へ出よう!!!
三沢さんも早く!!!」
開けたドア。
傾いた機体。
「芹霞、僕から絶対離れないでね!!!」
芹霞を抱き脱出を試みようとしていた僕の腕は――
がくん。
「きゃあああああ!!!」
更に垂直に傾いた機体から、
芹霞を滑り離してしまって。
芹霞がドアの外に、落下してしまったんだ。
「芹霞ああああ!!!」
慌てて、外に飛び込むようにして力一杯手を伸せど、
「玲くーーーーんッッ!!」
届かない。
届かない。
伸した僕の手は、
芹霞に届かない。
力を使おうとしても――
「!!!!」
何故か"虚数"だらけになっていた"約束の地(カナン)"には、僕が使えるだけの"0"と"1"はなくて。
その理由を考える余裕もなく。
芹霞が離れて行く。
それは機内で抱いていた不安そのものに。
――あたしは、神崎芹霞は!!!
嫌だ。
駄目だ!!!
――紫堂櫂を愛してる!!!
僕は離したくない!!!

