結局僕の心は――
究極の選択で、櫂を選んだ。
好きなのに。
こんなに芹霞が好きなのに。
手に入れたくて溜まらないのに。
そして同時に――
櫂が心配で堪らなかった。
僕の大事な従弟が窮地に陥っているのなら。
――玲。俺はお前を見捨てない。
どうしても僕は助けたかった。
――俺を信じろ。
それが、僕の使命。
僕は黙って、ずっと芹霞を強く抱いていた。
芹霞も何も言わず、僕の服をぎゅっと掴んでいた。
この温もりが…どうかこのまま僕の中に有り続けて欲しいと…
そればかりを、僕は祈り続けていた。
「KANANに入ったぞ…」
黙したままの事態が急転するのは早かった。
操縦席にいる…三沢さんの声がした直後、
「何だ…あれ。ん…んんん!!!?
うわ…何かが飛んで来た!!!
嘘だろ、おい!!!」
突如、聞こえてきたのは…同人の焦った声で。
がくん、と大きく機体が揺れた。
そして一気に機体は傾いて――
僕は本能的に危機を感じた。
墜落する!!!

