シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


結局僕の心は――

究極の選択で、櫂を選んだ。


好きなのに。

こんなに芹霞が好きなのに。

手に入れたくて溜まらないのに。


そして同時に――

櫂が心配で堪らなかった。


僕の大事な従弟が窮地に陥っているのなら。


――玲。俺はお前を見捨てない。


どうしても僕は助けたかった。


――俺を信じろ。


それが、僕の使命。


僕は黙って、ずっと芹霞を強く抱いていた。

芹霞も何も言わず、僕の服をぎゅっと掴んでいた。


この温もりが…どうかこのまま僕の中に有り続けて欲しいと…

そればかりを、僕は祈り続けていた。



「KANANに入ったぞ…」



黙したままの事態が急転するのは早かった。


操縦席にいる…三沢さんの声がした直後、


「何だ…あれ。ん…んんん!!!?

うわ…何かが飛んで来た!!!

嘘だろ、おい!!!」


突如、聞こえてきたのは…同人の焦った声で。


がくん、と大きく機体が揺れた。

そして一気に機体は傾いて――

僕は本能的に危機を感じた。


墜落する!!!