シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
――玲くん…?

――ん? 僕も芹霞が好きだよ。


いまだ貰えない。

僕には…。



――紫堂櫂を愛している!!!


あの時の…

迸(ほとばし)る程の激情を。


――君は僕の最愛の"彼女"だからね。


悔しくて…"お試し"に縋って言えど、複雑そうな顔を僕に向けてくるだけで。

何か言いたげに口を動かし、そして噤んでしまう。


それが無意識の拒否感かと思えば、酷くやるせなくて。

何も話して貰いたくなくて、芹霞を僕の胸に閉じ込めた。


何も言わせないように。


怖い。

怖いよ…。


まだ、終わっていないのに。

まだ、僕は頑張ろうとしているのに。


諦めてはいないのに。


もう…君が手に入らないということが、今から決定的になるようで。


僕の自信よりも、不安が大きく膨らんでいく。


――紫堂櫂を愛している!!!



延々と続く…

僕の苦しい恋路。


今にも壊れてしまいそうな…

硝子のような僕の恋。


壊したくない。

砕け散らせたくない。


ならば…"約束の地(カナン)"に行くのをやめるか?

今からならまだ引き返せる。


だけど――



"NO"


僕の心は答えている。



僕は――

どうしても危機的状況に居る櫂に、

背を向けることは出来なかった。