シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「ななななな!!! 葉山もヤられちまう!!! なら俺が!!!」


「小猿…。お前は動揺し過ぎて無理だ。お前があの中混ざれば、お前だってヤられるぞ? あ、掘られるっていう方が正しいか? さっき男も女も関係なかったの、見てたか?」


翠は、蒼白な顔を更に真っ白にさせて、頭を横にぶんぶんと振り続ける。


「仮にあの場から救い出せたとして…七瀬紫茉をどうこの穴に押し込めるか、だな…問題は」


私は、手の中の黒曜石を握りしめて溜息をついた。


手にしていた糸が…守護石に勝手に戻ってしまったのは、上岐妙が詠唱を始めた時だ。


多分…今、七瀬紫茉を取り巻いている"黒く揺らめくモノ"が、顕現を邪魔しているんじゃないだろうか。


煌は…近くに置いていた偃月刀が太陽石に戻っていたことなど気づかなかったらしく、


「ああ!!?」


私が指摘すると、ただ驚くばかり。


「だからなんで突然、顕現したり出来なかったりすんだよ!!!」


煌は憤った声を発した。


私達が武器の恩恵には預かれないのなら、自らの身体で七瀬紫茉を救い出すしかない。


あの…全裸の集団を体術で押さえ込むことが出来たとしても、この穴まで七瀬紫茉をどう押し込めるか。


裂岩糸があれば簡単だったのだが、ないとすれば…意識ない彼女を手に私が飛び上がるしかないけれど…あまりも高すぎる場所に、私達は居た。


煌は…穴からは恐らく手くらいしか出せない。


彼女を手渡そうにも、煌の手の長さを考えて…私の跳躍力では恐らく届かない。


だとしたら、あの集団が出てきた場所から逃げるか。



「それは、無理や…」



突如割り込んだのは、似非関西弁。



「「わわわ!!!」」


煌と翠が同時に仰け反った。


唐突に姿現した聖は、まるで最初から此の場にいたかのような雰囲気で、私達同様…しゃがみ込んで穴から階下を覗き込んでいた。