「久遠様!!?」
「蓮。この死に損ないを連れ出せ」
俺は――
久遠の足を踏み付けた。
今更――何だよ、久遠。
此処まできて…
芹霞の時みたいに俺を突き放すのか、お前。
確かに、俺は役に立たないかも知れない。
だけどそのままは終わらせない。
俺を見くびるな。
"頼れ"
悪い予感を感じているのはお互い様だろう?
今は、少しでも人手が欲しい癖に。
「誰が…!!!」
冷ややかな瑠璃の色。
それはきっと…久遠の心の鎧。
いつもいつも感情を剥き出しにしていた癖に、こんな時は心を隠すのか。
何処まで天の邪鬼なんだ、お前は。
「お前は必要ない」
判るんだよ。
ひと時でも、並んで立てば。
『無理するな』
『危険に飛び込むな』
例え、俺の自惚れだとしても。
「戦いの邪魔だ」
俺は――
『気高き獅子』だ。
今までだって不可能を可能に変えてきた。
俺の信条は"完璧主義"だ。
やると言ったらやる。
決して諦めない。
お前だって判るだろう?
男には、やらなきゃいけない時がある。
役立たずのまま終わるのだけは御免だ。
俺は――
――芹霞ちゃあああん!!!
守られて終わる男じゃない。
"戦いには慣れている。
……お蔭様で"
たっぷりの皮肉を唇の動きに変えて。
"芹霞の為に、"約束の地(カナン)"を守りたい"
久遠は、一瞬ぴくりと身体を震わせ…
"共同戦線だ"
口端を吊り上げて笑った。
瞳を紅紫色に変えて。
それは芹霞の名前に反応したのか。
俺の心が通じたのか。
「後悔、するなよ」
そして俺に言ったんだ。
「頼られてやる。
だから…
失望だけはさせるな」
何処までも高飛車で。
俺を軽んじることに、どうしても苛ついてしまうけれど。
"それは俺の台詞だ"
だけど――。
久遠への信頼がなければ、俺は此の地には来なかった。
それだけは…事実。
蓮が鏡の銀の光を剣に注ぎ、久遠が詠唱を始める。
久遠。
俺は言霊使いではないけれど。
言葉だけは違えない。
この先――
例え何があろうとも。

