シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「久遠様!!?」


「蓮。この死に損ないを連れ出せ」



俺は――



久遠の足を踏み付けた。



今更――何だよ、久遠。



此処まできて…

芹霞の時みたいに俺を突き放すのか、お前。


確かに、俺は役に立たないかも知れない。


だけどそのままは終わらせない。


俺を見くびるな。



"頼れ"



悪い予感を感じているのはお互い様だろう?

今は、少しでも人手が欲しい癖に。



「誰が…!!!」



冷ややかな瑠璃の色。

それはきっと…久遠の心の鎧。


いつもいつも感情を剥き出しにしていた癖に、こんな時は心を隠すのか。


何処まで天の邪鬼なんだ、お前は。


「お前は必要ない」


判るんだよ。

ひと時でも、並んで立てば。


『無理するな』

『危険に飛び込むな』



例え、俺の自惚れだとしても。



「戦いの邪魔だ」



俺は――

『気高き獅子』だ。


今までだって不可能を可能に変えてきた。

俺の信条は"完璧主義"だ。


やると言ったらやる。


決して諦めない。


お前だって判るだろう?


男には、やらなきゃいけない時がある。

役立たずのまま終わるのだけは御免だ。



俺は――



――芹霞ちゃあああん!!!



守られて終わる男じゃない。



"戦いには慣れている。

……お蔭様で"



たっぷりの皮肉を唇の動きに変えて。



"芹霞の為に、"約束の地(カナン)"を守りたい"



久遠は、一瞬ぴくりと身体を震わせ…



"共同戦線だ"



口端を吊り上げて笑った。


瞳を紅紫色に変えて。


それは芹霞の名前に反応したのか。

俺の心が通じたのか。



「後悔、するなよ」


そして俺に言ったんだ。



「頼られてやる。

だから…

失望だけはさせるな」


何処までも高飛車で。

俺を軽んじることに、どうしても苛ついてしまうけれど。


"それは俺の台詞だ"


だけど――。

久遠への信頼がなければ、俺は此の地には来なかった。


それだけは…事実。


蓮が鏡の銀の光を剣に注ぎ、久遠が詠唱を始める。


久遠。


俺は言霊使いではないけれど。


言葉だけは違えない。


この先――

例え何があろうとも。