「ふるべふるべ…
ゆらゆらとふるべ…」
苦しそうな声で久遠は言葉を放つ。
何度も何度も。
そして鎌の先を地面に突き刺した。
ざく、ざく、ざく…。
それは規則正しいリズムを生み、それに載せて久遠の声が響く。
久遠の鎌が…形を変える。
それは錫杖(しゃくじょう)。
久遠が揺らすと…
シャラアアアン。
鈴の音がした。
「ふるべふるべ…」
シャラアアアン。
「ゆらゆらとふるべ…」
シャラアアアン。
まるで幻想世界に迷い込んだような…聖なるハーモニー。
苦悶の声は次第に落ち着き…凛としたものへと変わっていく。
その変化すらリズム。
音だ…。
久遠自体が音を生み出している。
取り込まれるではなく、独立した音を作っている。
言葉は音。
音は言葉。
言霊使いの久遠は、力となる音から言葉の力を引き出している。
周りに惑わされない、確固たるリズムを保持して、
シャラアアアン。
「とほかみえひため」
一瞬…
久遠が発光したかのように思えた。
そして――
「…はぁっ…危なかった」
そう呟くと同時に…
錫杖は大鎌に戻った。

