俺の力は蛆を増殖させ、蝶にも蚕にも効かない。
電気のことなど判らない。
あいつらが全員集まって、初めて…此の場の混乱は収まるだろう。
俺1人の力は、役に立たない。
俺だけでは――!!!
「実は久遠様。こちらから外界に向けての、全ての伝達手段が途絶えています。電話は普通、ネット関係も無理。事実上…孤立状態です」
「は!? ありえないだろう!!? 中継が回っているんだぞ!!?」
「由香が色々調べてましたが結果は同じ。更にこちらから外界から受け取れるものも、テレビ1局だけで…それ以外のテレビ受信も出来ない状態。その1局もいつ受信不可能になるか」
「………。此の地の電気系統は、白皇が創り上げた…外界から独立している特殊なもの。それなのに、移動する不特定電気による過負荷による機能麻痺、おまけに外界との交信は断絶状態だって?」
久遠は、瞑った両目に親指と人差し指乗せて、呻いた。
「ありえない。しかも。その中で…何で久涅は中継を続行させているのか。例え"充電"でカメラが動いていても、肝心の電波が異常であればただの電気の箱。記者会見とやらも無理なのは判る筈なのに」
それでも続行するというのなら。
むしろ中継自体…
「"中継"という…カメラを回すことに意味がある?」
久遠の言葉は、俺の思ったこと。
蓮が言った。
「だとしたら…重大記者会見などするつもりがなく、それは…報道陣を"約束の地(カナン)"に招くためだけの口実だと? 餌だと!!!? だとしたら、あの『流行とびつき隊』中継の打診があったこと自体…誰かによって仕組まれていたのか!!!? 誰か…久涅か!!!?」
久遠は無表情のまま、何かを考えているようで。
「私達は、餌と知らずに…招き入れたのか、元凶を!!!」
餌…。
久遠が首を刎ね続けているこれもまた、餌の結果だと?
久遠が静かに言った。
「とにかく…"電磁波"。これが気になる。もしも電波交信が出来ないのが、"約束の地(カナン)"が原因ではなく、外界に問題があるのだとしたら…中継をしているカメラマン、電波のプロには電波異常くらい判るはず。
久涅がそれに気づかずにいるとは、到底考え難い」
「どう致しましょう、久遠様」
蓮が訊いた。
「久涅を捕まえますか?」
「そうしたいのはあるが…多分、それを見越してあいつは動いている。だとしたら…あいつの裏をかかねばならない」
その時だった。
「何だ…?」
久遠が、大鎌を構えた。

