シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 


「蛆が増殖発生している現在、来園者は取り急ぎ屋敷に避難させてますが、黄色い蝶の奇襲で、全員連れることも適わず…とにかく人手が足りませぬ!!!」


久涅が…遊園地に戻れば、

多分…無効化の力で蝶は被害は及ぼさない。


俺は、蓮の手を引いた。


"久涅は?"


「久涅…は、元々残っていたカメラマンを連れて、ミラーハウスの中に。司狼達が見ている」


「何で…ミラーハウスだ?」


ミラーハウスの鏡は、元々白皇が建立していたものの位置をずらしたもの。


久涅の意図は判らないけれど…


もし連れ戻すことが出来れば、

被害は食い止められるのでは?


同時に思う。

あんな男に"約束の地(カナン)"を託すのか?

あんな男に懇願するのか?


それは耐えがたい屈辱で。

しかしそれを耐えねばならない危機的状況だとするのなら。


ああ、せめて――


蝶にも対処出来て…電力も復活出来る者が居れば。

ああ、蛆や蚕を弾き、逃げ惑う人々を大量救助できる者が居れば。


俺の脳裏に浮かぶのは――


「お前の仲間に、連絡はとれないのか!!?」



久遠は俺に聞いた。



そうだ。

あいつらが此処にさえ居てくれれば。


だけど…居ない。

俺の元には…居ない。


俺は、1人だ。