「蛆が増殖発生している現在、来園者は取り急ぎ屋敷に避難させてますが、黄色い蝶の奇襲で、全員連れることも適わず…とにかく人手が足りませぬ!!!」
久涅が…遊園地に戻れば、
多分…無効化の力で蝶は被害は及ぼさない。
俺は、蓮の手を引いた。
"久涅は?"
「久涅…は、元々残っていたカメラマンを連れて、ミラーハウスの中に。司狼達が見ている」
「何で…ミラーハウスだ?」
ミラーハウスの鏡は、元々白皇が建立していたものの位置をずらしたもの。
久涅の意図は判らないけれど…
もし連れ戻すことが出来れば、
被害は食い止められるのでは?
同時に思う。
あんな男に"約束の地(カナン)"を託すのか?
あんな男に懇願するのか?
それは耐えがたい屈辱で。
しかしそれを耐えねばならない危機的状況だとするのなら。
ああ、せめて――
蝶にも対処出来て…電力も復活出来る者が居れば。
ああ、蛆や蚕を弾き、逃げ惑う人々を大量救助できる者が居れば。
俺の脳裏に浮かぶのは――
「お前の仲間に、連絡はとれないのか!!?」
久遠は俺に聞いた。
そうだ。
あいつらが此処にさえ居てくれれば。
だけど…居ない。
俺の元には…居ない。
俺は、1人だ。

