「さて」
久遠は俺に振り返る。
「これで"絶対防御"は離れた。
油断すると蛆に食われる。
間抜けた死に様、晒すなよ」
それは俺の台詞だ。
俺は唇を動かすと、久遠は鼻で笑う。
「気づいているか?
延々と続く報道陣の手には…
テレビカメラがない」
久遠は顎で促した。
「久涅があの小部屋でかけた結界は、紫堂玲に類似した"電磁波"。その電磁波を放つ類のものが消え、代わりに延々と現われたのは…スクリーン。
これを…偶然と見るか、お前は」
俺は――
頭を横に振る。
久涅がわざわざカメラを入れさせた理由がひっかかっている。
「そうか。奇遇だな、オレも同意見だ。
では――行くぞ」
久遠とは…対立してばかりで、敵としてでしか対峙したことはないけれど。
こうして協力する"仲間"として立てば…
かなりの器の大きさに…愕然とする。
白皇が久遠の術により"約束の地(カナン)"を栄えさせた理由がよく判る。
認めたくないが…
久遠の潜在能力は高い。
五皇が1人に、直接手解きされて…認められて"約束の地(カナン)"に君臨する孤高の各務家当主。
性格がまともで、芹霞への想いがなければ…こいつは欲しい。
1度殺してやれば、まともになって生き返るだろうか。
「おい!!! オレを誰が蘇生させるんだ!!!」
何故か聡い。
しかし…"生き続ける"久遠に、"死"はどう処理されるのだろうか。
どうでもいいことを考えてしまい、思わず笑ってしまった。
「笑うなよ、気持ちが悪い!!!」
久遠は鎌を振るい…報道陣の首を刎ね続け、
俺は長剣で…点在するスクリーンを裂いていく。
場所は離れているというのに、気づけば距離は縮まって、久遠の怒鳴り声が間近に聞こえる。
たまにはいい、こういうのも。
中々刺激的じゃないか。
お互いに殺気めきながら、お互いの共通のものを破壊していく。
なんて矛盾する協力体制。
芹霞とは無関係な場所で会ってみたかった。
"約束の地(カナン)"以外の土地で会ってみたかった。
これはあくまで夢のような想像でしかないけれど。
「久遠様~ッッッ!!!」
その時、蓮が走ってきた。
「どうした、蓮!!!?」
蓮の顔は青ざめていた。
「久遠様、あちらで…」
息を切らせて。
「蓮!!?」
そして言ったんだ。
「黄色い蝶が繁殖しております!!!」
黄色い蝶!!!?
蝶まで!!!?

