シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 

「さて」

久遠は俺に振り返る。


「これで"絶対防御"は離れた。

油断すると蛆に食われる。

間抜けた死に様、晒すなよ」


それは俺の台詞だ。


俺は唇を動かすと、久遠は鼻で笑う。


「気づいているか?

延々と続く報道陣の手には…

テレビカメラがない」


久遠は顎で促した。


「久涅があの小部屋でかけた結界は、紫堂玲に類似した"電磁波"。その電磁波を放つ類のものが消え、代わりに延々と現われたのは…スクリーン。

これを…偶然と見るか、お前は」


俺は――

頭を横に振る。


久涅がわざわざカメラを入れさせた理由がひっかかっている。


「そうか。奇遇だな、オレも同意見だ。

では――行くぞ」



久遠とは…対立してばかりで、敵としてでしか対峙したことはないけれど。


こうして協力する"仲間"として立てば…

かなりの器の大きさに…愕然とする。


白皇が久遠の術により"約束の地(カナン)"を栄えさせた理由がよく判る。


認めたくないが…

久遠の潜在能力は高い。


五皇が1人に、直接手解きされて…認められて"約束の地(カナン)"に君臨する孤高の各務家当主。

性格がまともで、芹霞への想いがなければ…こいつは欲しい。


1度殺してやれば、まともになって生き返るだろうか。


「おい!!! オレを誰が蘇生させるんだ!!!」


何故か聡い。

しかし…"生き続ける"久遠に、"死"はどう処理されるのだろうか。


どうでもいいことを考えてしまい、思わず笑ってしまった。


「笑うなよ、気持ちが悪い!!!」


久遠は鎌を振るい…報道陣の首を刎ね続け、

俺は長剣で…点在するスクリーンを裂いていく。


場所は離れているというのに、気づけば距離は縮まって、久遠の怒鳴り声が間近に聞こえる。


たまにはいい、こういうのも。


中々刺激的じゃないか。

お互いに殺気めきながら、お互いの共通のものを破壊していく。


なんて矛盾する協力体制。


芹霞とは無関係な場所で会ってみたかった。

"約束の地(カナン)"以外の土地で会ってみたかった。


これはあくまで夢のような想像でしかないけれど。



「久遠様~ッッッ!!!」



その時、蓮が走ってきた。



「どうした、蓮!!!?」


蓮の顔は青ざめていた。



「久遠様、あちらで…」


息を切らせて。



「蓮!!?」


そして言ったんだ。



「黄色い蝶が繁殖しております!!!」



黄色い蝶!!!?


蝶まで!!!?