シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 

今なら判るこの西洋剣は――。


「……。何に顕現させるかと思えば、バスタードソードか。片手でも両手でも持て、突いても斬っても適した剣。攻撃力は高いが、長くて重くて、扱いにくい。使いこなせなければ、ただの錘だ。

バスタードは、Busterd(破壊者)からではなく…Bastardから由来しているのは知っているか?」


俺は頷いた。


昔…緋狭さんから聞いたことがある。


「"雑種"または"私生児"…何とも意味ありげだな」


それはどういう意味なのか。


「いいか、その剣には…そもそもの所、血染め石には蓮の持つ…ニトリクスの鏡の加護がない。だから恐らく…この瘴気に対しては普通の武器のように呑み込まれ、それどころか反作用効果が出るかも知れない。例えば…蛆が増殖するとか」


増殖を…見抜いていたか。


久遠は目を細めた。


「ニトリクスの加護は…蓮のニトリクスの鏡の術にて出来るもの。今あれは、救助には欠かせない代物だから、お前の石に術はかける暇は無い。覚えて置け。今のお前の剣は、せいぜいスクリーンを斬ることしか出来ない」


それでも。


「ないよりはマシだ。

司狼、旭。お前達は…救助に行け!!!」



『『ええ~!!!?』』



「蓮1人は限界がある。

それに…何か嫌な予感がする。

何か…来るぞ」


剣呑な紅紫色の瞳がすっと細められた。



「向こうを守れるのはお前達だ。

少しでも多くの人間達を救助しろ!!!」


生死に無頓着だった久遠が、此処まで"生存"に拘るのは…何故なのか。

変わったのか、久遠は。

生を選択した瞬間から、生を重んじるようになったのか。


芹霞の愛する此の地の人間を、死なせたくないのか。


「俺達も合流する」


『『了解~(ラジャー)』』


クラウン王子は走り去った。