今なら判るこの西洋剣は――。
「……。何に顕現させるかと思えば、バスタードソードか。片手でも両手でも持て、突いても斬っても適した剣。攻撃力は高いが、長くて重くて、扱いにくい。使いこなせなければ、ただの錘だ。
バスタードは、Busterd(破壊者)からではなく…Bastardから由来しているのは知っているか?」
俺は頷いた。
昔…緋狭さんから聞いたことがある。
「"雑種"または"私生児"…何とも意味ありげだな」
それはどういう意味なのか。
「いいか、その剣には…そもそもの所、血染め石には蓮の持つ…ニトリクスの鏡の加護がない。だから恐らく…この瘴気に対しては普通の武器のように呑み込まれ、それどころか反作用効果が出るかも知れない。例えば…蛆が増殖するとか」
増殖を…見抜いていたか。
久遠は目を細めた。
「ニトリクスの加護は…蓮のニトリクスの鏡の術にて出来るもの。今あれは、救助には欠かせない代物だから、お前の石に術はかける暇は無い。覚えて置け。今のお前の剣は、せいぜいスクリーンを斬ることしか出来ない」
それでも。
「ないよりはマシだ。
司狼、旭。お前達は…救助に行け!!!」
『『ええ~!!!?』』
「蓮1人は限界がある。
それに…何か嫌な予感がする。
何か…来るぞ」
剣呑な紅紫色の瞳がすっと細められた。
「向こうを守れるのはお前達だ。
少しでも多くの人間達を救助しろ!!!」
生死に無頓着だった久遠が、此処まで"生存"に拘るのは…何故なのか。
変わったのか、久遠は。
生を選択した瞬間から、生を重んじるようになったのか。
芹霞の愛する此の地の人間を、死なせたくないのか。
「俺達も合流する」
『『了解~(ラジャー)』』
クラウン王子は走り去った。

