「――…。凜」
久遠は何かを俺に投げた。
それを宙で受け取った俺は、手を開く。
血染め石(ブラッドストーン)だった。
「守護石は――
生者1人しか持てない。
俺も須臾もその力を多少なりとも使えたのは…
生きていなかったからだ。
血染め石はお前を選んでいる。
緋狭を通して、お前の体内に戻っていたくらいだ。
ならば…
お前だって出来るはずだ」
俺は目を細めた。
「力の放出はお前の首を絞めるだけだ。
だから――
武器に顕現しろ」
武器?
煌や桜のように?
「あいつらが出来るのなら、
お前に出来ないはずはない。
オレが導いてやる」
もしや…この鎌は…?
「金緑石(アレクサンドライト)の顕現だ。
まあ…せりの石か」
自嘲気に笑う。
「だからそれは、俺に返せ」
つまりは――
玲の石を勝手な言い分で横取りをして。
きっとそれは久遠の独占欲。
石を愛でながら…芹霞を愛でている。
現実では報われぬ想いを――
石に注いでいるのだろう。
腹立たしいことなれど…
身を引くことで愛を示す久遠の心を、
俺はどうしても邪険に出来なかった。
モノに愛を表現しているのは、独占欲を示しているのは…俺だって同じこと。
手首の布を俺は取り外すことは出来ない。
俺も久遠も――
同じ女を愛している。
ならばきっと俺は――
久遠の心の理解者であるのだろう。

