『久遠さま、僕達も~』
『旭も~』
彼らとて、戦鬼であると同時に久遠を慕う部下で。
…13年もの間、そして現在も尚、久遠を思慕していることを俺は知っている。
"約束の地(カナン)"は久遠の地かも知れないが、同じ地に足をつけている以上、此の地は俺の地であり、同様に司狼や旭の地であり。
共に居る者を救いたいという心は同じ筈で。
これは1人だけの闘いではないんだ。
そして1人に任せている程、俺達は弱い存在ではない。
そんな周囲の"ありがたい"声を聞かず、あくまで1人で何とかしようと再び背を向けた久遠の背中を、俺は足で蹴り飛ばした。
背中に黒い大きな靴跡がついてしまったが…内緒にしておこう。
「お前、耳までおかしくなったか!!?」
本当に面倒臭い男だ。
俺は――
久遠の鎌を奪い取った。
そして一閃。
俺だって武器を扱うことが出来る。
伊達に緋狭さんの元で修行していたわけではない。
それに――
救いたい者を救う為に、
人型の妖しを斬った処で罪にもならない。
覚えておけ、久遠。
口に出せないのは口惜しいが…。
『りんりん、僕も~』
『旭も~』
久しぶりに動くと気分がいい。
スカートという慣れぬものが、動きの邪魔をするが…。
それでも…
気分がいい。
こんな時に高揚する俺は、おかしいんだろうか。

