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「何で玲くん残して走るのよ、クソグマ!!!」


あの時――。


凱相手にしてる玲くんを1人残して、クマ男が車を走らせた時、怒り狂ったあたしは、クマ男のヒゲやら体毛を鷲掴みにしながら、怒鳴っていた。


「戻りなさいよ、戻りなさいッッッ!!!」


「駄目だッッ!!!」


どんなに毛を強く引っ張っても、意固地になっているクマ男は、微動だにしない。


そっちがソノ気なら――!!!


「だったらあたし、飛び降りるッッ!!!」


上がないのなら、ドアに頼らずとも、容易に外に出られる。


あたしは本気で、玲くんの処に戻る気で居た。


誰が玲くんを置いてのうのうと逃げるか!!!


あたしは――

玲くんを死なせたくなかったんだ。


何があっても、玲くんを生かす為に、あの場に戻りたかった。


死なせたくない!!!


切迫観念のように、あたしを突き動かしていた。


「やめるんだッッッ!!!」


クマ男は、急ブレーキをかけた。

そのせいで、外に半分身体を乗り出していたあたしは、反動で再び中に滑り込んでしまった。


負けて溜まるか!!!


「嬢ちゃん!!!」


クマは車を止めて身を捩ると、あたしの背中の服をむんずと掴んだ。


そのせいであたしは前に進めない。

動けない。


「クマは、玲くんを殺したいの!!!?」


あたしは首を捻って、クマ男を睨み付けたんだ。