「おかしいと思ったんだ」
横では桜が溜息をついていた。
「私達が皇城翠と合流して、七瀬紫茉を探しているのを判っていながら、どうして朱貴の名前だけが出なかったのか…。周涅の術かなんかの外部的作用によって、撹乱されている…とも思ったけれど」
確かに。
「だけど…3人で来いともメールには書かれていなかった。
私達はタダのダシで、七瀬紫茉情報なんて本当は何もなく、ただ言い様にからかわれただけか?」
桜がぎりと歯軋りすると同時に。
「ちゃうちゃう~」
突如聖は話に割り込んできて。
「情報屋は嘘つきまへんで?
大事な情報を"売る"でなく、
今回は"提供"するのやから、
こちらの眼鏡に適ってくれまへんと。
試さして貰いましたわ」
思ってたけどよ…
お前…何弁よ?
怪しいイントネーション使うなよ。
関西弁喋りたいなら、関西に修行に行け!!!
俺でも判る、おまえのは関西弁じゃねえ!!
しかも此処は東京だ!!!
そう思いつつ…
「試したって…あれ、全部お前の仕業かよ」
俺は、今更のような"危機"を思い出して、睨み付けた。
「半分は」
その含んだ笑いを見た時、俺は氷皇の姿を髣髴した。
こいつはただのアホハットじゃねえ。
何かを企てている…抜け目ねえ奴の類の顔。

