「朱やん。ずっとずっとラブコ~ルしてんのに、知っとって無視せんといてや~」
「………」
朱貴は聖を睨み付けていて。
「た・ま・や・ん」
最後に、ちょん、と朱貴の肩を人差し指で突付こうとすれば、それをひょいとかわした朱貴が一言。
「黙れ」
「久々なのにつれないわ~。"ひー"&"朱やん"の仲やろ~?」
「俺は…"そういうの"はもうやらんと、お前に宣言したはずだ」
朱貴と聖は旧知の仲だったのか?
というより、コンビ組んで何かしてたのか?
「そんなこと言わんといてや~? 朱やん、未だ人気でっせ~? 前以上…銭たんまり頂けるで~? この世は銭の時代でっせ~?」
何処の商人だよ!!
「いい加減諦めろ、ひー。俺の知らぬ所で外堀から埋めようとするな。何をされても何を言われても、俺はもう手を引いた」
「ええ!!? 嘘つきはるん? "望み"くれてやる言うたやろ~?」
「………」
「朱や~ん。朱やんご指名なんよ~? 判るやろ、誰のことか」
「………」
「ひーちゃん、困っとるのよ~ぅ」
「………」
断固拒否姿勢。
聖は必要以上ににゅうと突き出した口をひん曲げた。
「嘘~!!? そんな極悪やらかすんなら、ウチかて…朱やんの素性を「待て待て待「じゃあ"望み"叶え…「1回だけ…1時間限定だからな!!!」
「おおきに。毎度あり」
レジが開く音が聞こえたのは空耳か。
互いの言葉を打ち消すかのような怒涛のような会話だったが…無事商談は成立したらしい…。
一体、どんな商談よ?
指名?
……ホスト?
朱貴は№1ホストだったのか?
聖はホストクラブオーナーか?
ワケあり保険医が元ホスト?
元ホストが陰陽道の力バリバリで、皇城家次男の教育係?
元ホストなのに、ベタ惚れした女を邪険にしか扱えねえ…不器用男?
胡散臭い格好の奴が、一流情報屋でホストクラブ経営…?
で、餓死寸前で小猿から食い物奪ったのか?
もう何を何処から突っ込んでいいんだろう!!!
何だこいつら!!

