シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
「朱やん。ずっとずっとラブコ~ルしてんのに、知っとって無視せんといてや~」


「………」


朱貴は聖を睨み付けていて。


「た・ま・や・ん」


最後に、ちょん、と朱貴の肩を人差し指で突付こうとすれば、それをひょいとかわした朱貴が一言。


「黙れ」


「久々なのにつれないわ~。"ひー"&"朱やん"の仲やろ~?」


「俺は…"そういうの"はもうやらんと、お前に宣言したはずだ」



朱貴と聖は旧知の仲だったのか?

というより、コンビ組んで何かしてたのか?


「そんなこと言わんといてや~? 朱やん、未だ人気でっせ~? 前以上…銭たんまり頂けるで~? この世は銭の時代でっせ~?」


何処の商人だよ!!


「いい加減諦めろ、ひー。俺の知らぬ所で外堀から埋めようとするな。何をされても何を言われても、俺はもう手を引いた」

「ええ!!? 嘘つきはるん? "望み"くれてやる言うたやろ~?」

「………」

「朱や~ん。朱やんご指名なんよ~? 判るやろ、誰のことか」

「………」

「ひーちゃん、困っとるのよ~ぅ」

「………」


断固拒否姿勢。


聖は必要以上ににゅうと突き出した口をひん曲げた。


「嘘~!!? そんな極悪やらかすんなら、ウチかて…朱やんの素性を「待て待て待「じゃあ"望み"叶え…「1回だけ…1時間限定だからな!!!」


「おおきに。毎度あり」


レジが開く音が聞こえたのは空耳か。


互いの言葉を打ち消すかのような怒涛のような会話だったが…無事商談は成立したらしい…。

一体、どんな商談よ?


指名?


……ホスト?


朱貴は№1ホストだったのか?

聖はホストクラブオーナーか?


ワケあり保険医が元ホスト?

元ホストが陰陽道の力バリバリで、皇城家次男の教育係?

元ホストなのに、ベタ惚れした女を邪険にしか扱えねえ…不器用男?



胡散臭い格好の奴が、一流情報屋でホストクラブ経営…?

で、餓死寸前で小猿から食い物奪ったのか?


もう何を何処から突っ込んでいいんだろう!!!


何だこいつら!!