まるで緋狭姉の鍛錬時のような、
複雑でカオスでランダムな攻撃。
…1時間も続けたんだ、緋狭姉。
しかも笑いながら、速度を速めて。
緋狭姉は自分の攻撃が壁や地などに"衝突"した際、そこから生じる"副産物"がどんな速度と角度で跳ね返るかまで計算に入れ、それを全て俺への攻撃に付加して…俺を追い詰めた。
――目に頼るは一瞬。そこからは己の"心"で動け。
それを理解出来るまで、まるで竜巻の中にいるように攻撃され続けた。
血塗れもイイトコ、皮膚は裂け肉は抉られ…そのまま家に戻れば芹霞が卒倒した。
まあ…あいつが目覚めた頃には、回復してたけどさ。
あの修行は…心底、命の危機だと必死に逃げていたけれど…今思えば、それが役立つ。
俺だって最後には、傷つかなくなったんだ。
目に頼るのは…視界を脳裏に焼き付けるため。
脳は最善方法策を身体に伝える。
どう動くのが得策か。
緋狭姉は脳の動きを、"心"と表現しただけのこと。
目と脳…"心"の連携が上手く行けば、瞬時に身体が動く。
――その為の修行。
それをやらされたのは俺だけではない。
桜もだ。
まあ桜は…俺より遙かに早くコツを覚えて"合格"してたけど。
だから俺と桜は…
どんな複雑な攻撃を向けられても、冷静に躱すことが出来たんだ。
あの青光は触れるものを溶かす。
反射がない分だけ、やりやすく。
簡単にいく――はずだった。
その時、俺の耳に響いたのは…子供の声。
「おおう、何だこの声!!!」
同時に声を上げたのは、またしても小猿。
頭に直接響いてくるこの声は…歌。
『…~…め、 …ごめ…』
聞いたことのある旋律…これは…。
「「"かごめかごめ"!!!?」」

