シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

 
まるで緋狭姉の鍛錬時のような、

複雑でカオスでランダムな攻撃。


…1時間も続けたんだ、緋狭姉。

しかも笑いながら、速度を速めて。


緋狭姉は自分の攻撃が壁や地などに"衝突"した際、そこから生じる"副産物"がどんな速度と角度で跳ね返るかまで計算に入れ、それを全て俺への攻撃に付加して…俺を追い詰めた。


――目に頼るは一瞬。そこからは己の"心"で動け。


それを理解出来るまで、まるで竜巻の中にいるように攻撃され続けた。


血塗れもイイトコ、皮膚は裂け肉は抉られ…そのまま家に戻れば芹霞が卒倒した。


まあ…あいつが目覚めた頃には、回復してたけどさ。


あの修行は…心底、命の危機だと必死に逃げていたけれど…今思えば、それが役立つ。


俺だって最後には、傷つかなくなったんだ。


目に頼るのは…視界を脳裏に焼き付けるため。


脳は最善方法策を身体に伝える。


どう動くのが得策か。


緋狭姉は脳の動きを、"心"と表現しただけのこと。


目と脳…"心"の連携が上手く行けば、瞬時に身体が動く。


――その為の修行。


それをやらされたのは俺だけではない。

桜もだ。


まあ桜は…俺より遙かに早くコツを覚えて"合格"してたけど。


だから俺と桜は…

どんな複雑な攻撃を向けられても、冷静に躱すことが出来たんだ。


あの青光は触れるものを溶かす。

反射がない分だけ、やりやすく。



簡単にいく――はずだった。



その時、俺の耳に響いたのは…子供の声。


「おおう、何だこの声!!!」


同時に声を上げたのは、またしても小猿。


頭に直接響いてくるこの声は…歌。



『…~…め、 …ごめ…』



聞いたことのある旋律…これは…。



「「"かごめかごめ"!!!?」」