シンデレラに玻璃の星冠をⅡ




「身体が…なんかこう熱くてさ…脈が…」


すると小猿が驚いた声を出す。


「何だよ、お前にとっても"パワーアップ"アイテムか!!?」

「あ?」


「俺も最初、身体熱くなってどくっどくって脈打ったんだよ。最初これくれたのは紫茉だったから、紫茉が毒入れたもんだと…俺の刺客だと凄く警戒したけど。暫くすれば治るし、この先も食べ続ければ身体が慣れるのか…今の俺みたいに平然としてられる。

ここまで似通ってるのも何かの縁だな。

よし。…俺がイロイロ優しく教えてやるから安心しろ、後輩」


「おお、先輩!!!」


何だか、益々親近感を覚えてしまったのは…小猿も同じだったみたいで。


「ワンコ!!!」

「小猿先輩!!!」



「畜生BLコンビで、鬼ヶ島でも行ってこい…」



桜のぼやきが聞こえた。


BL…って何だ?



「では…その力を証明して見せて下さいね」


朱貴はそう言うと、突然車を止めた。


気づけばとうに首都高から降りていたようで。


此処は何処だ?


真っ暗だ。


真っ暗だけれど…


「瘴気!!?」

「《妖魔》の気配!!?」


桜と小猿が声を上げたのが同時で。


「此処は木場公園の入口。


まあ…簡単に行かせてくれるとは思ってはいませんでしたが、随分と大勢で待ち構えられていたようですね?」


朱貴は、外に出るように顎で促した。


「これを何とかしなければ、紫茉の行方を知る情報屋の元にはいけません。

ならば早くさっさと片付けましょう」


俺達は外に出た。


さわさわさわ…。


木々のざわめく音。


かつてこの木場公園には、バイクで芹霞と来た。


その時以上に、大きな瘴気を感じる。



「…桜。聖というのは、信用出来るんだよな?」


偃月刀に顕現しながら、隣の桜に聞けば。


「情報は信用出来るが、人物像に関しては…断定出来る程の付き合いはない」


だとすれば――


"随分と大勢で待ち構えられていたようですね"


「聖が誰かと組んで、俺達を誘き寄せたとも…考えられないわけではない、か」


それでも――



「行くしかないだろう。要は…負けなきゃいいだけの話」


桜は薄く笑いながら、裂岩糸に顕現した。