「身体が…なんかこう熱くてさ…脈が…」
すると小猿が驚いた声を出す。
「何だよ、お前にとっても"パワーアップ"アイテムか!!?」
「あ?」
「俺も最初、身体熱くなってどくっどくって脈打ったんだよ。最初これくれたのは紫茉だったから、紫茉が毒入れたもんだと…俺の刺客だと凄く警戒したけど。暫くすれば治るし、この先も食べ続ければ身体が慣れるのか…今の俺みたいに平然としてられる。
ここまで似通ってるのも何かの縁だな。
よし。…俺がイロイロ優しく教えてやるから安心しろ、後輩」
「おお、先輩!!!」
何だか、益々親近感を覚えてしまったのは…小猿も同じだったみたいで。
「ワンコ!!!」
「小猿先輩!!!」
「畜生BLコンビで、鬼ヶ島でも行ってこい…」
桜のぼやきが聞こえた。
BL…って何だ?
「では…その力を証明して見せて下さいね」
朱貴はそう言うと、突然車を止めた。
気づけばとうに首都高から降りていたようで。
此処は何処だ?
真っ暗だ。
真っ暗だけれど…
「瘴気!!?」
「《妖魔》の気配!!?」
桜と小猿が声を上げたのが同時で。
「此処は木場公園の入口。
まあ…簡単に行かせてくれるとは思ってはいませんでしたが、随分と大勢で待ち構えられていたようですね?」
朱貴は、外に出るように顎で促した。
「これを何とかしなければ、紫茉の行方を知る情報屋の元にはいけません。
ならば早くさっさと片付けましょう」
俺達は外に出た。
さわさわさわ…。
木々のざわめく音。
かつてこの木場公園には、バイクで芹霞と来た。
その時以上に、大きな瘴気を感じる。
「…桜。聖というのは、信用出来るんだよな?」
偃月刀に顕現しながら、隣の桜に聞けば。
「情報は信用出来るが、人物像に関しては…断定出来る程の付き合いはない」
だとすれば――
"随分と大勢で待ち構えられていたようですね"
「聖が誰かと組んで、俺達を誘き寄せたとも…考えられないわけではない、か」
それでも――
「行くしかないだろう。要は…負けなきゃいいだけの話」
桜は薄く笑いながら、裂岩糸に顕現した。

