骨の残骸から風が生じるはずはない。
だとすれば…?
埃被った骨の山に…
煤が払われたような骨が疎らに見つかった。
触れた形跡がある。
俺がそれをよく見ようと、骨に指先を触れさせた瞬間、まるで感電したかのような軽い衝撃を受けた。
ぱりぱり。
青く細かい光が、稲妻のように光る。
電気…?
何で此処に電流が?
「これは…結界だな」
思い出すのは玲の力。
俺の闇の力、久遠の言霊の力、そして玲の力まで。
無効化出来る上に――
――"模倣"したんだ。
そう訴えていたのは久涅のはずで。
――"模倣"、か。
訴えられていた久遠は、模倣されていて。
どういうことだ?
誰が、誰の"模倣"だ?
「しかし所詮は…真似事。
紫堂玲程の力もない」
そう嘲笑いながら、久遠は真顔になると…すうと息を吸い込んだ。
「凡(およ)そ神は正直を以て先となす。
正直は清浄を以て本(もと)となす…」
突如流れた凛とした声音。
澱んだ冷たい空気が、
動揺したように震えた。
「清浄は心に正さを失はず物を穢さず。
大道を守り定準を専らにす。
是を以て明光頂を照らし
霊徳掌(たにごころ)に入る…」
ふるふると震えるように揺れる空気は、
まるで共鳴でもしているかのように…
久遠の旋律に同調していく。
久遠の支配下になっていく。
「願を成して何ぞ成らざらんや
万事は一心の作なり。
時々奉行して面々怠ること勿れ」
途端。
久遠の手が光り輝いて、
「…今こそ、真なる姿を現し賜え」
骨に触ると、山自体が脆くも崩れ落ち…
そして現われたんだ。
下に続く、階段が。

