シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


久遠が固い顔をして、扉の奥の空間に足を踏み込んだ。


ふさふさとマーブル模様の毛を揺らして入ってくる。


朽ちて頽廃した空間に、輝くような高級草食動物。


外見上はまるでミスマッチなのだが、頽廃的で虚無的な表情を見せる久遠には、妙に馴染んでいるように思えるのが不思議だった。


不協和音で成立できる合奏(アンサンブル)。


空間の広さは、8畳間強。


うち、4分の1スペースの地面には、やや黒ずんだ白骨が散乱し、山に積まれた状態だった。


山の頂には、頬が欠けた髑髏。


この大きさは…子供だろうか。


狂気の残滓を受け取らぬようにしながら、慎重に辺りを幾ら見渡せど…扉以外の出入り口は何もなく。


人間達の熱気と、回されるカメラの電熱量がなくなった分、瘴気が底冷えしそうな冷たさを伝えてきた。


溜息交じりに後を振り返ると、


――!!!?


俺は思わず仰け反った。


クラウン王子は一回り小さくなっていたからだ。


『ホントだ。くっついてればほかほか~』

『だろう? それでなくても"これ"は冷たいのに、更に周りが冷たくなっちゃえば…氷抱いているようなものだものな。もっと首元にくっつけよ。お前体温高くてぽっかぽかなんだから。でも寒~』


更にクラウン王子は小さくなった。


恐るべし。

クラウン王子は変形も可能。


久遠は…

寒がっている2人に、毛皮を着せてやることは考えてもいないらしい。


1人…少し汗ばんだ髪先を見れば、久遠は暑いだろうことは間違いなく。


「何」


顎で、カタカタ震えるクラウン王子を促せば…


「こんなに寒いのに、脱げだって?

お前…女装以外に、鬼畜の上、"そんな"趣味までもあるのか?」