「こいつは特殊事情があるからいいとして、お前達までもが"天使"如きにぶれるなど意外…」
その時、ぐ~と空腹を知らせる音がして。
続けて、もう1回…呼応するように音が鳴る。
久遠は俺を見たけれど、俺はクラウン王子を促した。
何故俺だ!!!
俺は"しちゅ~"がまだ胸につかえて、腹などすかない。
「……。成る程ね。それで渇望して"ぶれ"たのか、お前達」
クラウン王子の腹の虫だけで、何かを悟った久遠。
『きゃはははは~、"ぶれぶれ"~』
ぐ~。
『お前~、さっきから涎垂らすなよ!!』
ぐ~。
ああ…。
そうだ、こいつらは…。
きっと幻覚を見続けていれば、
"奇跡的"な…涙を流すようなご馳走にありつけただろう。
ぐ~。
ぐ~。
「……その音、止めろ」
久遠が不愉快そうに言った。
ぐ~。
ぐ~。
『お前止めろよ、"三重苦"だぞ?』
『きゃはははは~』
ぐ~。
ぐ~。
「うるさい」
久遠の一喝で、静まり返る。
どんなに自堕落で腐っていようとも…
王子の上に立つ各務家当主。
醜いが故に威圧感あるワンコと、
美貌であるが故の威圧感のある久遠。
ここまで正反対であれば、
その強烈さゆえに頭痛がしてくる。

