シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


『久遠さま~。皆は何でないてるの?』

『幻術でもかけたんだよ、あの男』


クラウン王子がカクカクしながら、忍んだ声を出した。


幻術?

いつ、どのタイミングで?


俺が感じ取れないのは――

久涅が無効化の力があるからなのか?


「"模倣"、か…」


久遠は薄く嗤う。


「人体には神気というものが流れ、それは音楽のように個々独特の旋律(リズム)を持っている。波長…のようなものだ。

オレは、言葉という声調によって、その個人の波長と周囲の波長とを合わせて"言霊"の力を発動させるが…久涅はその逆をやったのだろう。

久涅は…人体の旋律をずらしてぶれさせた」


模倣とは…久遠の"言霊"の力か?

言霊…。


久涅の言葉に、そんな力があったのか?


何故…久涅はそんなことも出来る?


長い指が俺を指す。


「ぶれれば心身に"乖離感"が出る。ある種…眠りに陥る寸前の状態。

体を実感しているのに、頭は夢を見ている…2つの世界の狭間で揺れているそんな状態を生み出す」


乖離感は俺も感じた。


「このような心身がさざめく不安定な状態においては、自らの"意思"が…幻覚という自ら作り出した夢に直接反映される」


『願い求めよ』


その単語を使ったのは久涅。


そして皆…天使を見たいと言い出した。


――天使様!!!


あの扉の奥で――

天使を見たいという願望が、

夢のような幻に輪郭を与えたというのなら。


天使だと"信じる"限りにおいて、

それは真実――。


涙して歓喜しているものが何であれ、

それは何処までも奇跡。


まるで"約束の地(カナン)"に居た…

"狂信者"達のように。