シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


久遠の表情は、どこまでも虚無。


悲哀も憤怒も超越した"無"の表情からは、一切の感情を推し量ることが出来ない。


「此処は――主に爺…レグの実験で使い尽くされた"彼ら"のゴミ捨て場の1つ。なまじこんな扉に守られていた為に、緋狭の火の手から逃れ、今も骨の形を残していたまま。

荼毘に付されず残っていたのは、消えてなくなりたくないと…"存在"を主張する彼らの"遺志"故のことかと…あえてそのまま残そうと、周囲だけをひっそりと浄化し続けるつもりだった。

"身内"の不幸は、公開すべき類ではない。

更に撮影など…愚かしい」


淡々とした口調。


「天使と聞けば、人は勝手に恐れ…

同時に奇跡を求めて群がってくる。

無いものねだりの"妄執"を押し付ける。

昔も今も――」


瑠璃色の瞳には、ちらちらと…

紅紫色までには至らぬ炎が見える。


「お前達が見たのは…

永遠をもたらす血肉を失った――

ただの…ガラクタだけだ。

それを歓喜できる人間は、

何て――…」


その声音は悲哀じみていて。


そんな久遠を平然と見ていられなくて、俺は…久遠から顔を背けた。


"お前だって人間だろう?"


喋れない俺からは、言葉が出てこない。


脳裏に…思い返されるのは、

あの扉の奥で、唯一"生彩"を見せていたオブジェ。


まだ瑞々しい…供花があったんだ。


それは…

久遠が手向けていたのだろうか。