シンデレラに玻璃の星冠をⅡ




「"悦楽"は、やがて"破滅"に繋がる」



そう抑揚ない声で却下したのは久遠。

しかし久涅はそれを笑っただけで。


「破滅の歌声を…

記録したいとは思わないか?」


ざわめいた。


「破滅が待ち受けるまでの至上の悦楽。


見てみたいとは思わないか?

聞いてみたいと思わないか?」


それは悪魔の誘惑のように。

ゆっくりとじわじわと。


妖しい"天使像"を創り出す。


そこには清廉さは何も無く。

崇高なものも何一つ感じないなれど。


俗世慣れしている人間達を誘き寄せるには、十分過ぎる魅力的な言葉だったらしい。


少なくとも…猜疑心を薄れさせるくらいには。


俺の警鐘が…警戒の音をたてている。


「見れるのなら…見てみたい」

「見るくらいなら」

「歌声って…どんなのだろう」



そのざわめきは、熱さを増して。



「俺は、聞けるなら聞いてみたい。

天上の調べを…」


1人が強い口調で言えば、違う1人が呼応する。


「俺も…確かめるぞ。

カメラが証拠だ」


"同調"で繋がる、連鎖反応。


「天使というものを見てみたい」


その声に1つに纏ってきた時、



「では――

願い求めよ」


久涅は嗤った。

哀れんだような眼差しで。


「天使の歌声が聞こえるように――

強く強く願い求めよ」


それはどこかで聞いたような台詞。


記憶が…ゆらゆらと揺れる。


くらくらと、眩暈がして――

俺の警鐘の音が消え去った。