無効化という力だけでは説明出来ない。
闇という特殊なものを能動的に使える力がなければ!!!
「久涅!!!」
久遠の瞳が見開かれて。
「残念だったな、久遠。
お前も…俺を見くびりすぎていたようだ」
皮肉気に…そして唾棄するように。
そして…。
息を飲んで成り行きを見守っていた報道陣に言った。
「さあ…天使がどれ程のものか、自分の身体で感じるがいい」
ダメダ。
俺の本能が警告を放つ。
「カメラを回すがいい。
中継を続けるがいい。
それでも天使という…"奇跡"を信じる気がないのなら、何処までも己の常識と理性に問い続けて、永遠に"心"を閉ざし続けるがいい!!」
開け放たれた扉。
ざわつく報道陣。
好奇心はあるようだが…未知なるその空間に、足を踏み入れる勇気もないようで。
警戒心の方が勝っている。
それでもお構いなしに、久涅は再び金の万年筆をくるくると回転させた後、それを懐にしまい。
両手を左右に広げて、陶酔したように言う。
「天使の歌声を聞くがいい。
囁く様に、誘う様に…
果てで待つのは"悦楽"。
楽園に誘う調べ」
ごくりと、唾を飲み込む音がした。
「悦楽…」
人間は大概、その言葉に弱く。
どんな胡散臭い言葉でも、手印と言葉で扉を開けたその事実を見せつけられた状態なら、共通する"怪しさ"故に共鳴するものもあるようで。
「見てみたくないか?
天使の歌声に充ち満ちた…
そんな楽園に…」
俺の頭の中は、警鐘のような高い音が鳴り響く。
「どんな願いでも叶う…
至上の悦楽を…与えてくれるぞ?」

