黒い岩扉に刻まれているのは、数字の"4"を簡略化したような奇怪な模様。
この模様は、悍(おぞま)しいものへと繋がる…忌まわしき刻印。
これに対応する手印を俺は知っている。
それは緋狭さんから教えられた。
2ヶ月前、初めて俺が開けた扉の中には、魔道書たる『黒の書』によって施された…瘴気に満ちた魔方陣があった。
"約束の地(カナン)"においては、点在していた魔方陣の数は東京のものより数を増やし、必然的に扉の数も多かったのだけれど。
特殊な闇の産物は、
闇使いでしか動かせない。
そしてその闇を扱える人間は珍無類。
久涅は――
「では、開こう」
扉の前で手印を作ったんだ。
小指と人差し指を立て、あとの3本の指を折ったような手印を。
知っていたことは意外で。
久遠の顔にも緊張が走る。
だが…手印だけでは駄目なんだ。
それだけで開くというのなら、
東京の地で俺より先に緋狭さんが実行している。
緋狭さんですら開けられなかったんだ。
それを――
「…力を与えよ」
全て…俺が緋狭さんから指示されたその記憶通りに、まるで決められた演技のように、淡々とこなしていった久涅の前で…
ゴゴゴゴ…。
扉は開いたんだ。
闇使いでしか開けられないその扉が!!!

