「何を持って、真実だと"信じる"?
――目か耳か?
ならば、その目と耳で確かめてみるがいい」
久涅は――
悠然とした笑いを見せて、
「この扉の奥に拡がる光景を。
傲慢な人間達が作った、
"天使の飼育場"を」
扉を指差した。
天使の飼育場…。
白皇が実験に使った…
有翼人種の飼われていたという場所は。
あるという話だけしか俺は聞いておらず、この目で見たことはない。
五皇が1人たる白皇の人生を狂わせた"天使"という類が、もしも"約束の地(カナン)"が遊園地と姿を変えても、まだ奇跡的に生き残っていて…俺の知らぬこの奥で…存在していたのだとしたら?
俺の知らない地下の領域。
久遠が俺に黙していた理由は何だ?
変な臨場感そのままに、
沢山のカメラが様子を撮影している。
放たれる総電気量はかなりのものだろう。
狭い空間の温度が上昇している。
瘴気で温度が下がっている空間には、丁度いいのかもしれない。
「其処には…
"天使"がいるんですか?」
若林アナが、震える声でマイクを持っている。
「それを信じる信じないは受け手次第。
信じたのなら――
その"真実"を報道するのがお前達の使命だろう?」
あの奥に…
有翼人種が居るのだろうか。
久遠に視線を送れど、久遠はただ睨み付けるように久涅を見ているだけで。
冷ややかな…
詰るようにも思える瑠璃色の瞳。
そして。
"開けられるものなら
開けて見せろよ"
そんな居丈高な空気が漂っている。
もし此処に何か"秘密"があったとして。
それが久遠にとって不味いことであったとしても。
久涅は扉を開けることは出来ないと踏んでいるからこそ、久遠は余裕ぶって事態を傍観出来るのだろう。
そんな視線に気づいている久涅は、愉快そうに久遠を一瞥して…扉の前に立つ。

