シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


「何を持って、真実だと"信じる"?

――目か耳か?


ならば、その目と耳で確かめてみるがいい」


久涅は――

悠然とした笑いを見せて、


「この扉の奥に拡がる光景を。

傲慢な人間達が作った、

"天使の飼育場"を」



扉を指差した。


天使の飼育場…。


白皇が実験に使った…

有翼人種の飼われていたという場所は。


あるという話だけしか俺は聞いておらず、この目で見たことはない。


五皇が1人たる白皇の人生を狂わせた"天使"という類が、もしも"約束の地(カナン)"が遊園地と姿を変えても、まだ奇跡的に生き残っていて…俺の知らぬこの奥で…存在していたのだとしたら?


俺の知らない地下の領域。

久遠が俺に黙していた理由は何だ?


変な臨場感そのままに、

沢山のカメラが様子を撮影している。


放たれる総電気量はかなりのものだろう。


狭い空間の温度が上昇している。


瘴気で温度が下がっている空間には、丁度いいのかもしれない。



「其処には…

"天使"がいるんですか?」


若林アナが、震える声でマイクを持っている。


「それを信じる信じないは受け手次第。

信じたのなら――

その"真実"を報道するのがお前達の使命だろう?」


あの奥に…

有翼人種が居るのだろうか。


久遠に視線を送れど、久遠はただ睨み付けるように久涅を見ているだけで。


冷ややかな…

詰るようにも思える瑠璃色の瞳。


そして。


"開けられるものなら

開けて見せろよ"



そんな居丈高な空気が漂っている。


もし此処に何か"秘密"があったとして。

それが久遠にとって不味いことであったとしても。


久涅は扉を開けることは出来ないと踏んでいるからこそ、久遠は余裕ぶって事態を傍観出来るのだろう。


そんな視線に気づいている久涅は、愉快そうに久遠を一瞥して…扉の前に立つ。