「随分と勿体ぶった"謎"だと思えば、
――天使、だって?」
まるで嘲笑うようかのように、報道陣の1人が言った。
「この世にそんなものはあるわけ無いだろう。
そんなのは架空の存在。
翼が生えた生物なんてあるはずがない。
そんなのは…"化け物"だ」
ぴり。
空気が鋭くなったのは、クラウン王子。
久遠は無表情のまま。
「"化け物"すら見たこともないくせに、随分と知った口をきく」
久涅は…不遜な態度を見せた。
懐から、金の万年筆を取出して、くるくると手で回す。
カメラが回ったままだというのに、
俺の記憶する横柄な態度に変わっていく。
「化け物とみなす理由は何だ?
翼が生えていることか?
その肉体が特殊なことか?
惑わせる美貌を持つことか?
自分達とは少し"違う"ものがあれば、それを"化け物"とみなして堕とし込む。
だとしたら――
そうした化け物から見れば、人間達こそ…規定外の"化け物"。
翼が生えていない。
肉体は、硝子のようにすぐ滅ぶ。
惑わせる美貌を持ち合わせていない。
何が化け物であるかないのかなど、それはただの個人的な主観にしか過ぎない。"妄想"のようなもの」
それは…天使擁護の発言のように。
そして万年筆を、報道陣に向けて言い放つ。
「人間にとって――
"信じられる"ものこそが、
"存在するもの"であり、真実。
証明出来もしない"存在"の真偽を持ち出して、それを究極的な真実の拠り所とするのは、荒唐無稽な話。
論点の"すり替え"だ。
要は"規格外"を――
"受入れられるか否か"」
久涅は…どうしてこんなことを言うのか。

