俺は久遠を見た。
知らない。
俺はこんなの聞いていない。
いつの間に地下を増設した、久遠!!!
その必要性が何処にあった?
久遠はこちらを見るどころか、酷く厳しい顔つきをしていた。
そしてエレベータは着く。
それは洞窟のような、整備されていない空間。
悪寒を誘うような冷気が漂っている。
立上る瘴気。
それを壁一面に描かれた白い布陣が吸収しているように思えた。
これは…久遠が?
扉がある。
それは…機械室を遮っていたような、分厚い扉。
何処に繋がっているのだろう。
「久涅!!!」
久遠が声を上げた。
「久遠…お前に決定権はない」
何を言いたいのか、見越したように久涅が歪に笑う。
回るカメラ。
おろおろする若林アナ。
「此処からは…例えお前だろうと、
"開ける"ことは出来ないぞ?」
「どんな理由でもって?」
久遠の瑠璃色の目が鋭くなる。
「それだけは"無効化"できない。
そういう類の代物だ」
「へえ…?」
そう言うと久涅は、ドアの横にある小さなパネルのような部分に手を当てた。
『認証しました』
無機的な音声が聞こえると、難なく…轟音をたてて扉が開いた。
此処にも、電気が通っているというのか?
報道陣からざわめきが起る。
怪しい入口は開かれたのだから。
壁には、小さな照明がついている。
やはり…電気と通っているのか。

