シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


久涅先頭に暫し歩く。


空にはまだヘリの音が煩い。


煩いのは…若林アナの声もそうだ。


久涅に気に入られようと、ひっきりなしに喋っている。


この女の声は、マイクを通せば更に甲高く変わるんだ。


こうした媚びた声が好きだという男もいるから、人気アナなんだろうが…少なくとも俺は受け付けられない。


聞けば聞く程、頭痛がしてくるようで。


意識が朦朧としてくる心地にさえなってくる。


「特にこの笑い声…。

まるで硝子を爪で引っ掻いたようだ」


俺より更に顕著なのは久遠のようで。


今ではもう、両耳を両手で押さえて顔を歪ませている。


さすがの言霊使いも、内部から攻撃してくるような"音"は弾けないらしい。


そこまでの苦痛な声音だというのは判るのだが、その久遠の姿は放映されているはずだ。


紹介する遊園地のオーナーが耳塞いでいる図。


そこにやる気など感じられない。


ショッピング街の外れまで歩く。


久涅の足は止ることない。


"約束の地(カナン)"の電飾が疎らになっていく。


何処まで行くつもりか。


久しぶりにこうして"約束の地(カナン)"を歩けば、かなりこの土地は浄化されたはずなのに、まだ処処に瘴気が残っているのが判った。


瘴気の残骸が散らばっている。


この付近は、"深淵(ビュトス)"と呼ばれていた。


かつて――

欲と凶気が渦巻き、一番瘴気が充ち満ちていた場所。