「それ、何」
必要最小限の言葉だけで、半端ない敵意。
紅紫色の瞳が、更に真っ赤だ。
俺は手を後に隠した。
「メイドなら、主人の命令は絶対的だ」
と、寄越せと言わんばかりに手を広げる。
俺は頭を横に振る。
俺に構う前に、もっと周囲を警戒しろよ。
「凜!!!」
俺は凜じゃ…
『――今だ!!
秘技…"膝かっくん"』
俺は――
転ぶのだけは、必死に耐えた。
「何だよ…見れるかと思ったのに」
「どんなの穿いてるんだろ」
「もう少しだったのにな…」
この複数の声は…報道陣。
俺は――
男だ!!!
そう一同睨み付けた後、元凶の源である…上下カクカクしながら走るクラウン王子を追いかける。
『きゃはははは~』
『モロ、ひっかかってやんの』
『りんりん、ズッコケ~』
『司令官の言葉は凄いな』
『うんうん。また喧嘩しそうならないかね~。久遠さまと。きゃはははは~』
遠坂…。
いや、待て…。
りんりんって何だ?
しめてやろうか、この王子!!!
後ろから羽交い締めにしようと、その上半身に触れた時――
腕に何かが衝撃を感じた。
見ると――
コートの袖が切れている。
『じっとしてろよ、りんりん』
『そうそう、りんりん』
何か…武器でも仕込んでいるのか?
物騒なクラウン王子だ。
ああ、なんか疲れた…。
俺…まだ体力完全に回復してないのに…精神的にまず困憊だ。

