いや、しかし。
俺が此の地に飛び込んでくるまで、久遠ら"約束の地(カナン)"組は、何一つ親父や皇城家、黄幡家と接触がなかったはずで。
仮に久遠の危惧していたとおり…白皇が主体となり、知らず"約束の地(カナン)"の土地が巻き込まれていたとすれば、そしてその"秘密"が此の地にあるのだとすれば、わざわざ全国規模の中継をさせる必要はない。
ナゼクズミハココニキタ?
俺を確かめに来た…だけではないだろう。
「久涅。お前の一存で番組を変えるな」
協調性のない久遠が、思ってもいない"番組"のことを持ち出して、強い口調で却下しようとすれば、
久涅は薄く笑って、若林アナの耳元に唇を寄せた。
「何が出るのかと期待している間、視聴率は下がらない。どうだ? 番組をそれで進ませろ」
俺の顔をして、汚いやり方だ。
彼女は、蕩ける寸前で頷いて、ふらふらとカメラマンやADの元にてOKを貰ったようだ。
「久遠。OKだ。此処はお前の顔を立てたが、もう一度言う。
俺主体で進めさせて貰う」
意味ありげに再び笑う。
「ええと~、KANANミステリーツアーになりました!!! これはこの番組初なんですよう!!! どんな謎があるんでしょうか。何処に連れて行ってくれるんでしょうか。楽しみですね~」
そんな声が聞こえた。
久涅先頭で歩いて行く。
目的が見えたアナは、久涅の真横で喋りっぱなし。
耳元で囁かれただけでコロリと堕ちたのか。
何て単純な思考。
比べて芹霞は、単純そうに見えてなんて複雑怪奇なのか。
そう思いつつも…。
――紫堂櫂を愛してる!!!
俺は…顔を弛ませて、手首の布に唇を落とす。
感じる視線。
久涅と、久遠と。
久涅はすぐに目を逸らした。
ばれたか?
いや…ばれていてもおかしくないはずなんだけれど。
何で、執拗に確認にこないのか。
「……」
しつこいのは久遠の方。
「何」
久遠の方が攻撃的だ。
敵意剥き出しだ。

