シンデレラに玻璃の星冠をⅡ


いや、しかし。


俺が此の地に飛び込んでくるまで、久遠ら"約束の地(カナン)"組は、何一つ親父や皇城家、黄幡家と接触がなかったはずで。


仮に久遠の危惧していたとおり…白皇が主体となり、知らず"約束の地(カナン)"の土地が巻き込まれていたとすれば、そしてその"秘密"が此の地にあるのだとすれば、わざわざ全国規模の中継をさせる必要はない。

ナゼクズミハココニキタ?


俺を確かめに来た…だけではないだろう。


「久涅。お前の一存で番組を変えるな」


協調性のない久遠が、思ってもいない"番組"のことを持ち出して、強い口調で却下しようとすれば、


久涅は薄く笑って、若林アナの耳元に唇を寄せた。


「何が出るのかと期待している間、視聴率は下がらない。どうだ? 番組をそれで進ませろ」


俺の顔をして、汚いやり方だ。


彼女は、蕩ける寸前で頷いて、ふらふらとカメラマンやADの元にてOKを貰ったようだ。


「久遠。OKだ。此処はお前の顔を立てたが、もう一度言う。


俺主体で進めさせて貰う」



意味ありげに再び笑う。


「ええと~、KANANミステリーツアーになりました!!! これはこの番組初なんですよう!!! どんな謎があるんでしょうか。何処に連れて行ってくれるんでしょうか。楽しみですね~」


そんな声が聞こえた。


久涅先頭で歩いて行く。


目的が見えたアナは、久涅の真横で喋りっぱなし。


耳元で囁かれただけでコロリと堕ちたのか。


何て単純な思考。


比べて芹霞は、単純そうに見えてなんて複雑怪奇なのか。


そう思いつつも…。


――紫堂櫂を愛してる!!!


俺は…顔を弛ませて、手首の布に唇を落とす。


感じる視線。


久涅と、久遠と。


久涅はすぐに目を逸らした。


ばれたか?

いや…ばれていてもおかしくないはずなんだけれど。


何で、執拗に確認にこないのか。


「……」


しつこいのは久遠の方。


「何」


久遠の方が攻撃的だ。

敵意剥き出しだ。