「さあ…借りは返しましょうね?」
雅に揺らめく憎悪の炎がある限り――
僕は500人もの憎悪を相手にしないといけない。
取り出された鉄環手。
「貴方も…貴方の大事な人も――
全て"送って"上げましょう。
優柔不断な貴方に…代わって」
優柔不断?
「玲くんッッッ!!!」
「早く乗れッッ!!!」
「気が散るのなら、あちらを先に潰しましょうか?」
天井が無くなり、防御機能を落した鉄の空間。
真上から直下すれば…無事ではない。
どうする!!?
芹霞達を無事に守るには?
「!!!」
ああ…!!!
僕は、1つの解決法に思い当たる。
何だ、簡単じゃないか。
僕が囮になり――
全ての攻撃を受けていればいい。
僕の脳裏に、横須賀港で…櫂を逃がす為に体を張った芹霞が思い出された。
芹霞には、その記憶すらないのだろうけれど。
あくまで僕は櫂に張り合っているかもしれないけれど。
これが僕の愛の示し方。
僕は叫んだ。
「三沢さんッッ!!!
僕を置いて――
安全な場所に芹霞をつれてくれッッッ!!!」
「「はあああ!!!?」」
裏返った声が重なって響く。
「僕は此処で食い止めるッッ!!!」
僕は覚悟を決めて、身構えた。

