私は目を細めて言う。


「五皇に"黄色"はない」


「……ええ、今は」


「今はということは、昔は居たと言うことか?」


橙色の髪が揺れた。


「ええ。昔の五皇は"黄、黒、緑、白、赤"」


「今と違うじゃねえかよ。大体"氷"は何処行った?」


「あの男は…新参者です」


「下克上か? じゃ黄皇は?」


「亡くなりました…」


その顔は陰鬱で。


「氷皇が殺したのか?」


朱貴は頭を左右に振って否定する。


「氷皇は――

ただの案内人。

黄色の信奉者にしか過ぎない」


キイロノシンボウシャ?


「は?」


「五皇の"盟約"の履行に従っているだけのこと」



どういうことだ?



そんな時だ。


ゴゴゴゴゴ…。


地鳴りのような轟音と共に、部屋が…マンション事態が激しく揺れ始めたのは。


「何だ、地震か!!!?」



「違います。第2段階(ステージ)に入ったんです」



そして僅かに濃灰色の瞳を窓の外に向けて、窓を指差すと同時に、


「!!!!?」


煌は両耳を押さえた。

同じ所作をしたのは、皇城翠も同じ。



そして――



「「ああああああああ!!!」」


床に俯せになりながら両耳を抑えて、声を上げたんだ。

音か!!?


私の耳には、やはり聞こえない。