「かなり恥ずかしかったんだなあ…。"強制"されたとはいえ、あんな大声で"僕は芹霞が"……」
「――…!!!
やめてよ、三沢さんッッッ!!!」
玲くんががばりと飛び起きた。
会話は聞こえていたらしい。
「がはははは!!! 何だ『白き稲妻』。
初告白でもあるまいし、あんなので狼狽えるなんて色男らしくないじゃないか。お前さんなら口説き慣れしてそう…」
「三沢さん!!! 僕はそんな軟派男じゃないんだってば!!! 芹霞に誤解させるようなこと言わないでよ!!! 20年間で僕は…こんなに何度も何度も自分の気持ちを告白してるのも初めてで!!!」
玲くんに涙目で訴えられた。
「僕だって色々考えているのに、どうして何処かの安っぽいメロドラマみたいに、東京のど真ん中で大声で愛の告白をしないといけないんだよ。僕、そんな開き直りキャラじゃないんだよ!!! もっともっと心が切ないんだよ!!!」
そして、憤るように胸をばんと手で叩いた。
玲くんは…多分、動揺が激し過ぎて、自分で何を言っているのか判っていないに違いない。
恥ずかしいのか、怒っているのか。
日頃の余裕たっぷりの様子は微塵も窺えず…
玲くん…。
あたし、今の台詞の方がかなり恥ずかしいんですけど…。
「がはははは!!
それなのに報われないってわけか」
途端――
ずんと玲くんは沈み込んでしまった。
「――え!!? 本気でまだ報われてないのか、お前さんが!!?」
バックミラー越し。
「え!!!? 全国放映までさせて!!?」
驚くクマ男。
本人は冗談のつもりだったらしい。
玲くんはますます沈んだ。
「嬢ちゃん、どうして報いてやらないんだ!!? いい男だろう、『白き稲妻』。何処が不満だ!!? 言ってみろ!!? どうすれば『白き稲妻』に惚れる!!?」
こ、ここであたしに振るか、クマ男…。
端麗なお顔が上げられた。
じぃっと鳶色の瞳が向けられる。
綺麗な綺麗な…硝子のように透き通る茶色い瞳が、あたしの心を見透かすように見ている。
答えを…待っているとか?
答えないといけないとか?
「あ……。
れ、玲くん…?」
「………」
待っているらしい。

