シンデレラに玻璃の星冠をⅡ

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寒空をひた走る、元高級車たるオープンカーもどき。

そこでがんがんいれられる暖房。


これだけ"エコ"と無縁な車もないだろう。


「あんなスピードでかっ飛ばしすぎたから…赤坂なんて通り越して、芝浦付近だ。遠回りも遠回りだ。しかし何というか…活気がないな」


クマに言われるがまま窓の奥を眺めれば、外は真っ暗のまま。


左手に何かゆらゆらと揺れる光が見えているだけで。


暗闇…。

光…。


「もしや人魂「あれは東京湾に浮かぶ船だ」


東京湾って…東京の端っこじゃないですか?

行こうとしていた赤坂って真ん中でしたよね?



バリバリバリ…。


「おお…ここにもヘリが多いな。報道ヘリか。お台場にはCX(フジ)もあるし、敵さんではないことを祈ろうか。ああ、大分時間ロスだ。あ、そういえばKANANの記者会見の時間聞こうとしてたんだっけか」

クマ男はぶつぶつ言いながら、携帯電話を取出したけれど…

「電源切っているな、あの野郎。仕方が無い直接会って聞いてやるか。な、『白き』…。……。………。

……嬢ちゃん、嬢ちゃん」


ちょいちょい…。


クマ男が片手を揺らして、あたしを呼んだ。


あの猛速度の烈風によって、出きってしまったらしいあたしの鼻血。


あたしはいつも通りのすぅすぅする鼻呼吸に戻して、身体を運転席まで伸す。


「お前さんの"王子様"はまだ立ち直れないのか?」


小声で聞いてくる。


"王子様"


「そうらしいね」


丸まったままの玲くん。

お隣が静かで、寂しいあたし。


珍しいや、玲くんが"切り換え"られないとは。

言われた本人はけろりとしているのに。