けたたましいサイレンと、赤い警告灯。
「180キロ走ってたら、免停だよな…」
バサッ。
玲くんが最後の1人を落とした。
「更に上から人間落としているんだ、どんな言い訳も…」
「クマクマクマ!!! ぶつぶつ言ってないでスピード保持して撒く!!!」
「三沢さん!!! そのままの速度で蛇行して撒いて!!!」
あたしと、外からする玲くんの声が同時で。
「「あれは警官じゃないッッッ!!!」」
「え!!!?」
更に悪いことに――
上空を飛んでいたヘリが…
ヘリまでも…
「な、何でそんなに低空飛行してくるんだ!!?
こ、こっちに来る!!!?
ぶつかる、ぶつかるッッッ!!!!」
三沢さんが慌ててハンドルを切った。
両横と後にパトカー。
上からは降りてきたヘリ。
更にはジープも追いついてきて。
「うわあああ!!!
パトカーに誰も乗ってないじゃないか!!!」
「今更慌てないの、クマッッ!!!
007みたいに派手なカーアクションお願いね!!?」
「嬢ちゃん、俺はゴールド免許保有者で…」
「ちゃっちいプライドは捨てちゃいなッッッ!!!」
「プライド云々より、もっと現実的な問題が。
今度の保険更新で、ゴールド免許割引を何としても…」
「せこいこと言わない!!!」
「俺…今月給料も…」
「男なら、豪快に笑って過ごせッッ!!!
あんたはクマでしょう!!!?」
意外に内面はみみっちいクマ男だ。