「れ、玲くん頑張って!!!」

「うんッッ!!!」


あたしは慌てて首を引っ込めた。


あたしが居たら、絶対邪魔になる。

足手纏いになるの判ったから。



「俺…結構修羅場潜ってきたけれど…カーアクションする財閥の次期当主なんて初めてだぜ?」


そう興奮しながらクマ男が言った時、


真横に大型ジープがついて――



やばい。


運転席に誰もいないじゃないか!!!



「クマ、クマ!!! スピード出して、あれ振り切って!!!!」


あたしは力一杯叫んだ。


「ク、クマ…?」


「突っ込むのはそこじゃなく、アクセル!!!

外は何も見なくていいから、

アクセル全開、パワーアップ!!!!」


「お、おう…?」


そしてあたしは外の玲くんに向かって言った。


体術で役立てれないなら、せめてメッセンジャーとして頑張ろう。


「玲くん!!! 姿なき自警団か制裁者(アリス)らしき車が追って来た!!! スピード上げているから、振り落とされないよう気をつけて!!!」


「判った!!!」


そう言った時、天井から何かが落とされていて。


視界に何かが飛んだ。


バサッ。

バサッ。


そして立て続け2回の重い音。


多分あれは…玲くんにやられた制裁者(アリス)。


南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…。


後続の車の急ブレーキ音、そしてぶつかる音が聞こえる。


南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…。


ごめんなさい、これは正当防衛なんです。


南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏…。


天井の制裁者(アリス)はあと1人となっている筈だ。


だったら、玲くんは何とかしてくれる。



そんな時、



「やばッッ!!! パトカーだ!!!」


クマ男の声がした。