シンデレラに玻璃の星冠をⅡ



「小猿……」


とりあえず目の前の光景だけでも何とかしなければ。

真実かどうかは、やはり"朱貴大好き"猿の感覚に頼るしかなくて。


その小猿は――


「朱貴…ひっくひっく…」


大粒の涙をぼろぼろ流している。


偽者の可能性も頭に入っているのに、小猿にはこの真紅色の情景が衝撃的のようで。それでも飛びつかないのは、直前のことを学習したからだろう。


情に動かされて触れた途端にアウト…。


今までの流れからして、その危険性は大いにあるんだ。

しかしこれが本物であるならば、一秒でも早く回復させてやりてえ。


「ワンコ…駄目かな、朱貴助けたら…」


「気持ちは判るけどよ、お前…さっき俺が言ったの覚えてるか? 心で…」


少し先輩風吹かせてみれば、


「お前もひっかかった癖に、何を威張って偉そうに」


桜に鼻でせせら笑われた。


言いたいことは山にあれど…反論出来ねえ俺。


はいはい、桜様の言う通りです。


「かなりの種の結界が頑丈にここにかけられていた…名残がある。気味悪いほど、"あらゆる種"だ。何だこれは…。

もし此処にいる朱貴が真実であるならば、それから逃れようと…我武者羅に結界を解き、そして……」




「力尽きて倒れたのか……」




俺のぼやきに真っ先に反応したのは、




「尽きて……ません。


本当に、失礼な…


紫堂の犬ですね…」





その声は――


「「朱貴!!!?」」


俺と小猿は同時に声を上げて飛び上がった。